試用期間満了での本採用拒否を解決した事例
【相談前】
依頼者は、派遣会社社員であったが、会社から能力不足を理由に試用期間満了で本採用拒否を通知されたとのことで、不当な解雇ではないか、会社と交渉してほしいとの相談であった。
また、本採用拒否の理由も能力不足としか説明がないとのことであった。
【相談後】
直ちに、会社に内容証明郵便で本採用拒否の詳しい理由を開示するように要求するとともに、本採用拒否は無効であるから、引き続き、期間満了後の給与の支払いを強く求めた。
会社は、能力不足をいろいろ書いてきたが、どれも抽象的であり、説得力に欠けるものであった。
訴訟しても依頼者の勝つ見込みが高いと判断し、訴訟解決を通知したところ、会社から給与の半年分の解決金の提示があり、依頼者の方も満足されたので、和解するに至った。
【弁護士コメント】
労働者を試用期間満了で本採用拒否をするケースも多くあります。
試用期間だから、本採用拒否を簡単にできると誤解している経営者が多いのもその原因の一つです。
本採用拒否は、厳密に言うと解雇ではありませんが、訴訟では解雇に準じてその有効性は厳しく判断されます。
すなわち、本採用拒否の理由に合理性と相当性があるかどうか審理されるのです。
本件のように本採用拒否や解雇の不当性が明らかで、訴訟でも勝訴の見込みが高いときは、交渉で慌てて和解する必要はありません。
なぜなら、訴訟で本採用拒否や解雇が無効となれば、会社は、本採用拒否時点や解雇時点からの給与を遡って支払う必要があります。
その金額は、月例給与×判決時までの全期間となるので、数百万円となることも珍しいことではありません。
当初強気だった会社も、弁護士が介入すると、訴訟でのリスクをおそれ、交渉段階での和解に積極的になることもあります。
労働事件は、労働基準法、労働契約法、裁判例に精通して、会社との交渉力のある労働専門の弁護士に依頼するのが鉄則です。